大人がデッサンを学ぶことについて


時々ご相談頂くのだけれど、「目的や適性」によって学ぶ場や諸々に注意が必要というか。

私は美大受験合格を目的に、美術予備校で一定の合格ラインまで一年、本気でデッサンに取り組んだ。目的と場所(研究・実績ある講師によるプログラムと講評、ライバル達のいる環境で毎日の様に真剣に)が合致していたので、迷いが無いし、結果も出た。

でも、大人になってからデッサンを学びたいという人達は、目的も適性もそれぞれ違うので注意したい。

・表現力の底上げしたい
(漫画家やデザイナー等、基本的美術鍛錬無しで自己流で仕事から入り行き詰まりを感じて打破したい)
→忙しさとの兼ね合いになるが、まずは本と道具買って独学で静物や自分の手等を描く、その先の客観的指導が欲しければ、絵画教室や通信教育を検討。仕事できている時点で努力や真面目さはあるので、本からでも学べることは多い。

・趣味や生涯学習として
(何でもいいから暇つぶし、何か達成したい)
→絵画教室や通信教育で、最初から他者の目のあるところで。自己流だと「描いているつもりで描けていない」という壁や、他の人の目を意識しないので自分の狭い世界から出られない「意識の壁」の範囲で、楽しさも深みも幅も得づらいから。

・なんとなく必要そうだから
(アマチュアでイラストや漫画描いていて、なんとなく)
→まずは本と道具で独学から、描きながら目的ややりがい見つけても良いし。
ただこの「なんとなく」の「ワナビー」が1番講師側も困る事多く、真面目に教えても「忙しい、気分が乗らなくて」とか言い訳してサボるし、「プロ意識の無さ」を垂れ流しながら「自分の作品が世に認められない」事に腐るし、「創作やクリエイティブ仕事をしたい」と本人は思っているけれど実際には「本気では無かった」りして、プロや講師の指導やアドバイスに応えず途中で投げ出して、「型なんかいらない、個性や自由が大事」と嘯く等。


カメラが登場し、「写実」がアートの必須ではなくなっても、アートを学ぶ基礎に未だにデッサンがあるのは意味があると思う。

もちろん、デッサンを学ばなくても心から描けば「良い絵」は描ける。
でも、「本当に表現したいものを描けているか」は、基礎を学んだ目と頭が、その先へ進ませてくれる。

観察する事、描きたいと思う事に技術や知識をついてこさせる努力、手癖を個性だと甘えずシビアに超えてその先の本当の自分の表現を目指す意識の壁越え。

漫然と数年お絵かき教室で上達意思なくデッサン続ける人もいるし、集中して壁越えする人もいるし、それぞれで良いと思うけれど、途中で投げ出して言い訳するのはカッコ悪いし、真面目に取り組む人達には勝てないよ。まずはデッサン仕上げてみよう。

などと思う、デッサン始めたい人達と教えている側からのご相談についてのアンサー。
(C)夜の魚

不思議と夢の話~夜の魚~

心理学、精神世界、日常の中の不思議なこと。 わかり合える仲間や、どこかでひっそりと自分の感覚や内宇宙を考えている人へ向けて。 WEB↓ http://atelier-clos.jimdofree.com