長い夏休み

広告業界を突っ走り、やりたかった仕事のビジョンを全て達成した後、身体を壊しかけたことをきっかけに会社を辞めた。 

約10年分の休みとして気が済むまで一年以上自由を許した。たくさん眠り、平日に美術館や水族館やプラネタリウムへ行き、ゆっくり料理やお茶の時間を取り、本や映画などを200本近く楽しみ、思いついたらすぐに旅をし、絵やコンテンツを作っていた。

30代、少しは貯金と経験を蓄えていたので、自活も遊びも自分に与えることが出来た。都会で山籠りの様に、悠々自適かつ、孤独や不安と自律で精神修行のような時期だった。

その一時期、知人のご好意で海辺の家を1ヶ月貸して頂いた。毎日波と空を眺め、散歩をし、2日に一度は海を泳ぎ、創作のアイデアを存分に練った。

その話を事前にある人に話した時、『騎士団長殺し』みたいだと言われ、その時はまだ読んでいなかった本なので書店で買い、海の街へ向かった。

村上春樹がその本を出した年、エピソードがリアルタイムでシンクロしていた。私は主人公と(数えで)同い年の絵描きであり、東京の都市部から神奈川の海辺の街に美大繋がり知人のツテで家を借り、山と森の中、往て帰りし心の旅を体験し、他にもトマトパスタや色々な共通項があり、個人的に意味を感じた。

夏が来て、この奇跡のような時間を思い出す。世界は本当に美しいことが見られた、宝物の記憶だ。

Image (C)夜の魚

不思議と夢の話~夜の魚~

心理学、精神世界、日常の中の不思議なこと。 わかり合える仲間や、どこかでひっそりと自分の感覚や内宇宙を考えている人へ向けて。 WEB↓ http://atelier-clos.jimdofree.com