ルーツの旅.3 ~秘境『奇跡の水』~

どうせ新幹線に乗るのだからと、前年に妙に気になってしようがなかった親戚の温泉を訪ねてみることにした。岡山から一度東京で乗換え、群馬へ。


一度も訪れたことはなかったが、調べてみると実は前年に土砂崩れで施設半分と道が埋まり、冬にはその創設者である大叔母が亡くなっていた。
記憶にあるのは独特な段ボールで実家に送られてきていた温泉水。インスピレーションにより、難病に良いとされる温泉を掘り当てた遠縁の大叔母の話(血縁は無い)。月の名を冠していた場所。

この温泉は一見胡散臭い文言が並び、辛気臭い設備写真なのだが、真剣に湯治に訪れる人が後を立たない。


実際に訪れてわかったのは、とにかく気が澄んでいて強い。龍脈の上にあるといわれている。「自然は良いものだ」というシンプルなことを特殊に盛り立てる“パワースポットという概念”を内心疎んでいたのだが、ここは体感が桁外れに違う。静かで、空気はニュートラルで、辛気臭さはない。

ここの「温泉水のチカラ」については私は意見を持たない。解る人や本当に病に悩む人だけに使われれば良いと思っている。


そこを切り盛りする実の叔母にはこれまで1~2回しか会ってない為、アポもなく私が訪れた時、年の離れた姉と間違えられた。控えめな世間話がてら、創設者の大叔母についてヒアリングしたが、場の方が雄弁に語る。ここについて解ってほしいことが解る人は少ないようだ。


土砂崩れ後も水源は無事だが、未だ通常営業は出来ていなかった。1メートルも土砂が雪崩れ込み、道はやっと復旧。この際シンプルモダンにリニューアルすればここの印象も変わるのになと思った。宿泊と温泉休止中でも、ポロポロと常連や新規が訪れては水を飲んでいく。



帰り道、木々や水の美しさやこの場について考えていたら、空で強烈な響きがした。

見上げると、龍のような雲が頭上に迫っていた。


どんどん龍のような形の雲が山に向かってくる。この山は神様を集めるという話は本当かもしれないな、と思った。

山を私有地として管理するため、一般人が取っ付き辛い設定(胡散臭さ)をしたのかなとも思う。素直に良い場所だから、あまり敬遠せず本当に合う人や必要とする人に伝わればいいなと思う。


(この旅は2016年秋のことである。そして旅は終わりへ向かう。)


Image(C)夜の魚.2018

不思議と夢の話~夜の魚~

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