『僕のヒーローアカデミア』というジャンプ漫画が好きで、連載本誌を読んだ。
そこでは、敵の少女 トガヒミコが自らの個性ゆえに家族や環境に否定されてきた描写と、同じく家や自らの体質に否定された男 荼毘(轟燈矢)によるトガヒミコへの「個性による破壊=悪の形をした優しさ」が描かれていて、泣いてしまった。
トガヒミコの「生きにくい」「普通の暮らしってなんですか?」という台詞がかつてあった。
その台詞は私にも共鳴していて、いわゆる複雑な家の虐待サバイバーである自分が、心理学や諸々で何とか自分を救ってきた流れを振り返らせる。
一般的ではない家で「普通の子」が得られる楽しみを否定され、私のしたいことは「悪い」と数えきれないほど言われてきたこと。(絵描きなんて悪いからシスターになれ、カラフルな服や長い髪は下品で悪い、家が変わっているせいでイジメに遭うとあなたが悪い子だからと言われ、家とイジメのストレスで固形物を受け付けない(おそらく拒食症で、食べなきゃ死ぬと考え、自分で野菜やタンパク質をすり潰しスープを作り流動食で生き延びた)ことをあなたの我儘で悪いこと、友達の妹が事件で殺されたり友達が性的被害にあったり先輩が自殺したり好きなアーティストの死等で凹んでいるとあなたのせいで胃が痛いあなたが悪い、バイトして買ったものを悪い等)
実家にいる間は私の存在や思いや個性は「悪」と否定されてきた。
トガヒミコは実家を見ながら自分が否定されてきた感傷に耽る。
そこに荼毘が来て、否定の象徴である家を個性の青い炎で燃やし(物理的に荼毘の意の通り)、「それなら笑おうぜ トガヒミコ」「人は、笑う為に生きている」という台詞で涙が溢れてしまった。痛みを知る人間の優しさだ。
私がやる芸術(絵描きであること)や長い髪とカラフルな服を選ぶこと、クリエイティブ仕事やライフスタイルの基準、つまり私の個性は悪と言われてきたものだけれど、私は自分の意思でそれをやり、笑おうとしている。
不幸や痛みを抱えた人間がそれでも生きる為に、芸術や文化は救いや知恵をくれる。
そんなことを改めて考えてしまうヒロアカ本誌だった。
(C)夜の魚
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