善行や努力が更なる不幸を連れてくる面について

良いことをすれば周りも自分も幸せなる、といった内容のメルマガを読んだ。
それは本当にそうだとは解っているのだが、善行や努力がさらなる不幸を連れてくるパターンが確実にあるので、この記事を書くことにした。

例えば機能不全家族や、トラウマを抱えた人の場合、本人は本当に優しくて真面目に頑張っていても、一般的な人よりも格段に不幸になりがちだ。
基本的自信がなかったり、不安を抱えていたり愛着障害のようなものがある場合は、人に舐められて粗末に扱われるだけならともかく、その善行や努力が喰い物にされたり、その人の良さに付け込まれて搾取されたり、努力した成果を横取りされたり、汚名や罪を被せられたりと、生育歴の不幸の要素が元となり更に不幸を呼ぶ場合がある。
もちろん、本人が何をするか、どう生きるか、自分が後悔しないように良きことも努力をするのも良い。だが、異常な程酷い目や事件レベルの被害に遭うのも、実はよくあるケースなのだ。

だからそういう人にはまず、心理学を勧める。神経症、加害者や家族の人格障害やサイコパス、モラルハラスメントや虐待、メサイヤコンプレックスや共依存、心理療法等ついて、基本的なものからピンとくるタイトルの書籍、今はネットである程度情報は拾えるので、コレだと思うものについては本で読むと、自己理解でき、本一冊で人生は変わるし、色々掛け持っている場合もあるので、楽になるまで探り、理解することが始まりだ。
そして心理学的に自己理解と自己解放・治癒、基本的自信を手に入れる。

あとは、求められていないのに思いやりでサポートしたり施しをしない厳しさ、助けを求められても自分を損なう様なことはちゃんと断る意志、被害にあったら甘やかさず現実的な対処をする攻撃性をちゃんと手に入れること。自分を理解し大切にすることを学ぶのと、被害に遭わない厳しさを持つことの二面性が必要だと思う。

これが私だけの経験なら、私の頭が悪いか運が悪いのだとも捉えられるが、私の知り合う多くの人達もこのパターンなのだ。本当に性格も頭も良く仕事のできる人が、周りの人に酷い搾取に遭って私生活の時間もお金もなく鬱や過労死に至ったり、事件レベルの被害を何度も受けたり、よく生き残れたと言う程、膨大なエネルギーを費やして地獄のような人生を送ってきているのだ。

だから、性善説が人を不幸にする場合もある事を、書いておかねばならないと思った。
マキャベリの君主論に、善行をすれば悪人に恨まれる、という主旨のものがある。これは私がブラック企業でサイコパス上司に奴隷レベルの目に遭わされ、女性かつ権力的バックボーンが無い事や真面目である事を理由に一般の数倍の努力や成果を搾取され、人のサポートをすれば酷い裏切り方を何度もされていた頃に、目を覚まさせてくれた言葉であった。家族問題のある人やブラック企業で頑張ってきた人は解ると思うが、こういうパターンの人の人生の大半は、善行や努力と比例していると思える程不幸なのだ。

貧困問題のサポートをしていた志ある女医さんが被害者となった事件もそうだが、自衛する力や権力がない中で善行をすれば、最悪の事態もある。私の知る女性も、今の世の中のために本当に素晴らしい仕事をしているが、その一方で警察を呼ぶ程の酷い目に何度も遭っている。

そういう地獄を「学び、魂の修行、経験」とか言うような浅薄なスピ系や自己啓発系は正直嫌いだ。真似できない程の努力や思いを経て、傷付く所ではないレベル、内臓を潰されるような目に何度も遭い、何年も何十年も苦しみながらそれでも頑張ってきたことが解らないから、そんな浅慮で偉そうな綺麗事が言えるのだ。

苛めや悪い事をする人は悲しい目に遭ったからだと言う説もあるが、それは基本の精神が普通な場合で、生まれつき嗜虐的な人間、サイコパスや反社会性人格障害の人間も確かにいる。家族に愛され普通に育ち、環境にも恵まれて楽しく生きていても、他者を攻撃したり、身も凍る程悪どいことをしているケースも結構見てきた。そういう人間が集まりやすい業界(ハードで上下の差が極端な傾向の業種等)もある。それは、一般的な家庭育ちの人や被害に遭った事のない人にはピンと来ない事が多く、大げさだと捉えたり、エピソードを聞いて怒ったりするけれど、そういうパターンに遭う人は解るだろう。
あの人(加害者)も大変だからとか、家族だからとか、皆それなりに苦労しているものだとかかばっていると、本当に人生を損なう程酷い目に遭って、加害者はずっと得をして笑っている場合もあるだから、性善説で生きているのは危険なのだ。

もちろん、優しい人や頑張り屋の人が心を病んでしまうパターンは多く、歪みがあってもそれはなんとか良くあろうとするベクトルがあるからいい。だけれども、もとから良心や共感性を持たなかったり、精神が腐っている人間もいるのだ。
村上春樹の「ノルウェイの森」に出てくるピアノを習いに来た女子学生のあの腐敗の仕方。己の欲望や悪意の為に、他者を思い通りに痛めつけようとしたり、真面目で優しい人が苦労を乗り超えなんとか築き上げてきたものを最悪な方法で壊し、良心がないから痛みもなく、発想が汚すぎて普通の人には事態が解らないから周りからの罰も受けない。
だから、加害者からは離れるしかない。悪を理解することは自衛の始まりだ。

冒頭のメルマガを書いた人はきっと普通の家庭で育って、性格も良くて、正直に書いている事は理解している。本当にそれは正義だとも思う。だけどこの世の中は反面があって、陰陽のように、善意に悪意が寄ってくる事もある。だからこれ以上、優しく頑張り屋の人が不幸にならないようにここに記しておく。

不思議と夢の話~夜の魚~

心理学、精神世界、日常の中の不思議なこと。 わかり合える仲間や、どこかでひっそりと自分の感覚や内宇宙を考えている人へ向けて。 WEB↓ http://atelier-clos.jimdofree.com