作ったものは切符なのかもしれない

中学の頃、銀河鉄道の夜をイメージした絵を描いて受賞して、賞品として 銀河鉄道の夜の舞台に招待された。初めて舞台演出を観て、その掛け算に衝撃を受けた。それから自分としては意外な事に、広告業界のセールスプロモーション、イベントの企画制作に従事することになった。

よだかの星を描いた絵が受賞して、図書館に飾られた。沢山の本の上に1羽の鳥。その時、精神世界を孤独に探求する気分がした。一人で旅したり、大きな図書館の無人の哲学書コーナーにいるとき、あの気分を抱いていることを自覚する。

水の中の月と桜を描いて受賞した絵が、上野の美術館に飾られた。それを観に行った帰りに、桜の木を見て、自分が受けることになる専門教育の匂いを感じた。それまでは自分の机の上で自分の世界に浸って描いていれば十分だと思っていたのに、外に出て他人と競わなければいけないと、その時何となく感じた。美術学生になって、複雑な思いを抱えながら桜の木を見た時、やっぱりこうなったかと思った。

ハウス、ヒッピーの土地で素朴な美術やロックやボヘミアンマインドを感じていた私は、マイペースに表現を楽しむはずだったのだが、作ったものから次の世界や戦いに引っ張られたようで、意外な歩みを進めて来た。

私は今、作っているものがある。これが次につながるのだろうか。次はどこに行くことになるのだろう。

7/3追記
上記の記事の時、絵を描いていた。その日、タイムリーなイベントを知り、急いで伺い、美大の先輩である漫画家とお話する機会を得た。髪の毛に絵の具をつけたまま出かけてしまい、漫画家の先輩から「アナログの絵っていいよね~」と言われ、素直な学生気分となった。
その頃見つけたギャラリーの展示募集に企画応募し、伝説のオーナーと面談し、文化スポットで個展の開催が決まった。自分のいる街で、自分は今フリーで、これは自分のステージだと思った。聴いている音楽、新しい洋服、画材の感触、場のエネルギー。まさに美大生の時間と同じだ。告知文を書いていて街についてに言及し、ハッとした。10年近くスランプで絵が描けなかった私が、必死に素直に絵を再び描きだしたのも、この街に住み始めた頃だ。これは、この街で描いた絵のためのスペースへの切符を得たと、今気づいた。

Image by :Pixabay(license free)

不思議と夢の話~夜の魚~

心理学、精神世界、日常の中の不思議なこと。 わかり合える仲間や、どこかでひっそりと自分の感覚や内宇宙を考えている人へ向けて。 WEB↓ http://atelier-clos.jimdofree.com